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なぜ、地方の製菓会社がクラウドファンディングを呼びかけるのか?
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- 皆さんは「かもめの玉子」というお菓子をご存知でしょうか?
かもめの玉子は、東北・岩手県大船渡市で創業した「さいとう製菓」の商品で、私たちが長い間、大切に守り続けてきた大船渡のお菓子です。
そして、いまや大船渡、宮城、東北だけではなく全国的にも知られているお菓子となっています。
さいとう製菓は創業90年、最初は町の小さなお餅屋としてスタートし、戦争時は休業を余儀なくされましたが、昭和25年頃からは和菓子の製造販売もスタート。
この頃から現会長齊藤俊明の父・俊雄は店の特徴を前面に出した特色のあるお菓子を作りたいということで、大船渡の海を颯爽と舞うカモメを思い浮かべ、昭和27年に「かもめの玉子」を商品化しました。
その後は、この大船渡の地を活かし活かされ、ともに発展を遂げてまいりました。
そんな地方の製菓会社が今回、クラウドファンディングでどうしても実現したい熱い想いがあるのです。
新たな商品を開発するため?もしくは、復刻版のお菓子を再現するためでしょうか?
実はそのどちらでもありません。
では、なぜ地方の製菓会社がクラウドファンディングを企画するに至ったのか...
今回、クラウドファンディングで実現したいことは、「さいとう製菓」を起点とし、大船渡そして三陸全体のファンづくりを目的としたプロジェクトなのです。 -
大船渡市の現状と地域の宝を磨き、発信したい!
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- 大船渡市は他の地方自治体と同じく、人口の流出に歯止めがかかりません。
町には活気が少なく、高校を卒業と同時に市外へ出ていく若者も多くいるのが現状です。
一方で、夏は涼しく、冬は雪が少なく、県内では比較的温暖な気候に恵まれたところでもあります。
良質な漁場を抱えた大船渡湾という海の恵だけでなく、山や川をはじめとした自然豊かな場所がすぐ手の届く範囲に拡がっているのも魅力の一つです。
実際、改めて市内周辺を散策してみると碁石海岸や穴通磯などの観光スポットだけでなく、私たちも触れてこなかった自然のダイナミックさ雄大さを体感できる場所や地元の食事に触れることができました。
このようにまだまだ地域に誇りをもって暮らしていける大船渡でありながら、人口流出が進んで行く大船渡。
そして、あの日、2011年3月11日。
東日本大震災が起こり、多くの大切なものや当たり前の日常が一瞬にして失われました。
それでもここ大船渡の地に残り、およそ10年。復旧を感じ、復興に手が届きそうな矢先のコロナ禍。
地域の祭りや各企業の工場見学の中止など、人々が集い交流できる場がさらに失われつつあります。
これらの立て続けに起こった出来事は、大船渡だけでなく、三陸全体に大きなダメージを与えています。 -
さいとう製菓から大船渡市そして全国へ
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- このような背景のなか、これまで大船渡の発展とともに歩んできた「さいとう製菓」として、このままでいいのかと顧みたとき、今ここで地域とともに新たな取り組みを行うべきと考えるように至りました。
それはご賛同いただけるパートナー(個人・企業様)と共に三陸のファンづくりに取り組むことです。
そうは言っても簡単に進むものではないのは理解しています。
地域のファンを作ろうという活動は行政が中心となって行うイメージですが、一民間企業が先導して取り組んではいけないということではないと考えています。
行政も民間企業も一つの地域の中のリソースと捉えたとき、限られたリソースのなかで誰が先導して行うのか?
その旗振り役を我々・さいとう製菓が担いたいと思います。
それにはさいとう製菓に受け継がれる、挑戦するというスピリットが関係しているのかもしれません。
さいとう製菓は、もともと餅屋から始まり、当初はお菓子の専門ではありませんでした。
それでも大船渡とそこに住む人々のためにという思いからお菓子づくりという道を選択しました。
創業当初はノウハウも何もかもが手探りの状況でしたが、お菓子が専門ではなかったからこそ常識にとらわれずに新しい挑戦を行い、かもめの玉子が生まれたのです。
そのマインドが脈々と受け継がれ、今回、地域活性化を目指すとともに三陸のファンづくりに取り組もうという機運に繋がったのです。
地域全体でこのまま衰退の一途をたどるのか、それとも自然や文化などの地域の宝を磨き上げ、大船渡市の“ナカ”と“ソト”に発信していくのか、その岐路に立たされているのです。
大船渡全体に必要なのはまさにファンづくり。それをさいとう製菓と各企業、行政が一体となって行っていきたいと思っています。
地域活性化の施策としては次の2点を計画しております。
① 「かもめの郷 お菓子ファクトリーⅢ」メタバース化
② 観光コンテンツのプラットフォーム化
1つ目は、距離的制限、環境的制限がある中で、私たちが導き出した答えが最新技術を活用した”メタバース(仮想空間)”を活用しようということでした。
そして2つ目は、さいとう製菓の「かもめの郷 お菓子ファクトリーⅢ」を大船渡、三陸観光のコンテンツの発信基地としてプラットフォーム化することです。
たくさんの制限がある世の中だからこそ、いつでもどこでもだれでも集える大船渡を仮想空間上に作りたいという答えに至りました。
まずは今回、さいとう製菓の工場を仮想空間化することでメタバース上での工場見学会を計画しています。 -
① 「かもめの郷 お菓子ファクトリーⅢ」メタバース化
- 2020年2月以前は、実際の工場を活用した工場見学を行っておりましたが、コロナ禍もあり、現在(2023年1月時点)はお休みしている状況です。
そこで、工場空間を3Dモデリング化で再現したメタバース空間を活用した、工場見学を計画しています。
見学自体は自由に体験(無料)できる状態にします。
また、定期的に、さいとう製菓スタッフによる工場見学会(30分程度)を開催することを計画しております。 -
② 観光コンテンツのプラットフォーム化
- 上記メタバース空間で地域の観光資源を中心とした情報発信を行います。
さらに、リアル(現実)の「かもめの郷 お菓子ファクトリーⅢ」にてデジタルサイネージを活用し、地図と情報がリンクした訴求を行ってまいります。 - また、今後の取り組みとして大船渡の見どころを視覚的にPRするために、観光資源のデジタルコンテンツ化(PR映像ほか)も計画します。
ドローンなどを活用したダイナミックな映像作成だけでなくゲーム性を持たせた観光周遊コンテンツを製作することで、楽しみながら大船渡の魅力に触れていただき、実際に行ってみたいと思っていただければと考えています。
あわせて、人々が交流できるような空間づくりや接客を行う計画を立てています。 -
皆さんに伝えたいこと
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- このクラウドファンディングを通じて、皆さんにお伝えしたいことがたくさんあります。
想いだけで物事が叶うことが難しいのも経験から実感もしています。
人や社会、時代が変化していく中で変えていかなければいけないこと。
どんなに物事が変わっても変えてはいけないこと。
その伝統と革新そのものこそが、私たちさいとう製菓が創業当初から大切にしてきた「すべてはふるさとのために」という想いにつながっています。
私たちが生まれ育った場所、ずっと昔から受け継がれてきた歴史や文化。
この土地には、当たり前にあり続ける大船渡に広がる海のように底知れない魅力が存在します。
私たちもまだ知らない大船渡の魅力がきっとあると信じています。
皆さん一人一人の力をお借りして、その魅力が何かを発見し、広げ、伝えていきたい。
お菓子作りの枠を越え、大船渡という地をさらに多くの人たちに知ってほしい。
実際に訪れてほしい。そして実際に感じてほしい。
この空と海と大地とそこにある文化や歴史、食、人を。
入り組んだ湾を抜け、朝日に向かって進む船。
その独特な海岸地形を体と心で実感できる山。
良質な食べ物、故郷を思わせてくれる人と街並み。
そんな夢や希望があふれる大船渡の新しいコンテンツを作り、地域活性を行うだけではなく、大船渡、三陸のファンを日本中に増やしたい。
そして願わくば、いつか、かもめの玉子を片手に大船渡を巡っていただけますように。
「お菓子を通じてみなさんの心を満たす」というさいとう製菓創業の想いを私たちが受け継ぎ、次の世代に繋いでいくキッカケづくりをご賛同いただける方々と連携し行っていきます。
“楽しさと感動~Fun to Fan~”を目指して...