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はじめに
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- 「鋳物」と聞いて何を思い浮かべますか? 「鋳物」とは、高温で溶かした金属を砂などで作った型の空洞部分に流し込み、冷やして固めた製品やその製造方法のことで、歴史は古く、弥生時代に日本に伝わったと言われています。
大洋産業は、桑名で伝統産業鋳物製品を製作している会社です。鋳物に携わる身として、より多くの人に身近に感じてもらい伝統産業を未来へと継承したい、という思いのもと、鋳造体験工房「CASTER HOME」を作りました。
体験工房をもっと多くの人に知っていただき、鋳物製品に実際に触れてほしいと考え、普段は水道メータ筐や止水栓筐などを作っていますが、今回、桑名の名産を型取ったオリジナル鋳物製箸置きを作りました。
ぜひ手にとって、そして桑名で実際にご自身で鋳造体験をしてものづくりの魅力に触れてみてください! -
伝統産業「鋳物」
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鋳物について
- 金属(鉄・アルミ・銅などの合金)を熱して溶かし、型の空洞部分へ流し込み冷やし固める加工法を鋳造(ちゅうぞう)といい、鋳造によって作られた金属製品が「鋳物(いもの)」と呼ばれます。
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桑名について
- 大洋産業がある桑名の地は、古くから「鋳物の街」としても知られており、桑名市で作られた鋳物は「くわな鋳物」と呼ばれています。桑名市の鋳物づくりの起源は、1601年(慶長6年)に徳川四天王の一人である本多忠勝が、桑名の初代藩主となり、鉄砲作りを命じた事によって始まったとされています。
現在も「鋳物の街桑名」と呼ばれる地では、マンホール等の水道用鋳物・かき氷機・業務用ガスコンロ・工作機械・建設機械などの機械用鋳物等、製造されているくわな鋳物は多岐にわたります。江戸時代から続く歴史ある鋳物づくりの魅力を発信すべく様々なイベントも開催されています。 -
半世紀以上にわたり携わってきた鋳物業界への思い
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会社としての使命
- 鋳物製造に関わる我々の技術は、先人から継承されるたびに磨かれ現在も進化しています。大洋産業は昭和36年の設立以来、60年以上この道一筋を歩んできました。世界に誇れる技術を駆使し、今後も銑鉄鋳物製造の事業に携わっていきます。
職人が生み出す鋳物製品は、進化し続けるこの世の中の創生物。この創生物をもって、豊かな社会を構築する支えとなり、未来を創造する事に貢献する。それが大洋産業の理念です。 -
鋳物文化を未来に継承したいという思いや地域貢献と持続可能な観光の場を創出するために鋳造体験工房を開設
- 本多忠勝の鉄砲製造をルーツに400年の歴史を持つ「くわな鋳物」ですが、現在その生産の担い手が減少しています。大洋産業として、その文化を絶やしたくないという想いがあり、鋳造を気軽に体験出来る場所として「CASTER HOME」を作りました。
前述の通り「鋳物の街桑名」と呼ばれてはいますが、鋳物とは何か、鋳物はどのように作られているのか、若年層の方はもちろん、大人の方までわからないと言われてしまう事も多く、地元住民の方の知名度も低下傾向にあります。 体験工房のオープンについて、特に大事にしたかったのがこの地場産業である桑名の鋳物を盛り上げ、地元のお子様を始め、皆様にも鋳物の魅力を伝え、桑名市のPRに繋げていくことです。 また、鋳物製造業というとどうしてもつきまとう、3K(きつい・汚い・危険)のイメージ払拭も目的にしています。
体験工房で実際に鋳物作りの工程を体験していただき、鋳物がどのようにして作られているのかを知り、興味を持っていただけるようご案内を継続していきます。 体験の様子などもWEBやSNSなどを活用して発信し、従来のイメージを払拭していきたいと考えています。
「地場産業を盛り上げる」「3Kイメージの払拭」この2つを行う事により、最終的には鋳物に興味を持った人が製造業の新しい仲間として加わってくれる事も期待できます。 後継者不足や業界自体が委縮していく鋳物業界ではありますが、若者にも知名度が広がり、興味を持った人が入る事により次世代を担う人材、鋳物業界をさらに盛り上げていけるよう今後活動していきたいと思います。 -
鋳造体験工房「CASTER HOME」
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「CASTER HOME」について
- 大洋産業の社内で、次世代を担う若手社員を中心としたプロジェクトが組まれ、2年以上の歳月をかけて工房が完成しました。「鋳物を学べる場所」「鋳物に関わる人がいるところ」「鋳物を身近に感じていただけるように」という理由からチームメンバーによって「CASTER HOME(CASTER…鋳造者 HOME…家)」と体験工房を名付けました。3Kと呼ばれることもある鋳物業界のイメージを払拭したいとの想いから体験工房を「ヴィンテージ&ラグジュアリー」をテーマにしたおしゃれな空間に仕上げました。
スタイリッシュな空間で鋳物製作を楽しんでいただいた後には、チョークアートの前で記念撮影も楽しめます。砂で鋳型を作り、鋳型へ溶かしたスズを流し込んで作る本格的な鋳物製作が体験できます。 -
体験工房
- 体験工房は、砂を使用した砂型鋳造を実際に制作体験するご案内をさせていただいております。 作れるものは箸置き・コースター・小皿・おちょこ等で来場時に完成品を見ながら体験コースを選んでいただくことができます。
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- 木枠に原型を置き、砂を詰め込んで鋳型をつくります。原型を外し湯口から空洞部分へ溶かした錫を流し入れます。 その後、砂型をばらし、やすりがけと刻印を打ち、完成となります。 力が必要な作業となるため、1人での体験は10歳以上からとなりますが、保護者同伴であれば10歳以下のお子様でも保護者の方と一緒に体験をしていただけます。
実施日については、月1~2回程度で完全予約制となっています。 予約サイトから行えますので、ご興味ある方がいらっしゃいましたら是非、ご参加をお待ちしております! -
体験いただいた方の感想
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溶接体験・鋳造体験で能登半島の復興を応援
- 大洋産業の所属している影山グループはグループの鋳造体験工房 「CASTER HOME」と溶接体験工房「アイアンプラネット ベース オブ 沼津」の2024年の売上全額を能登半島地震の義援金として珠洲市に寄付することを決定いたしました。体験工房を通して能登半島の震災復興に貢献することが、日本のものづくりの発展を目指している当グループの想いにつながると考え企画を立ち上げています。被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
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オリジナル鋳物製箸置き
- 数ある桑名の名品・名所から、ゆかりのあるこちらの3点を箸置きとして製作させていただきました。それぞれの解説とともに紹介させていただきます。
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桑名の名品・名所
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- ①ハマグリ
桑名市では中縄(なかなわ)遺跡が古墳時代の貝塚として東海地方最大級の規模です。
およそ6世紀~7世紀の約100年間に堆積していたのは大量のかきで貢納を目的としたものと考えられます。
鎌倉時代の貝層になると、はまぐり・しじみが大量に含まれていることがわかっています。
桑名のはまぐりは殻が大きく形・色も美しいため「貝合わせ」「膏薬(こうやく)の容器」などに利用され、桑名産が最も適していると賞賛されたそうです。
江戸時代になると歴代将軍に献上され、他にもいくつかのはまぐりにまつわる話があります。※出典:桑名市ホームページより -
- ②桑名の千羽鶴
桑名には、特別な連鶴(れんづる)が伝承されており、「桑名の千羽鶴」と名付けられ、桑名市の無形文化財に指定されています。
連鶴の折り方は1797(寛政9)年に刊行された『千羽鶴折形』という書物に記されています。
この本では、49種類の折り方が紹介されています。長円寺(桑名市)の住職 魯縞庵義道(ろこうあんぎどう)によって考案された非常に貴重な資料で、折紙の書物として刊行されたのは世界最古と考えられています。
義道はこれらの連鶴の折形を完成させるのに18年の歳月を費やしており、そこには従来には無い変化に富んだ鶴を作りだそうとする義道の意志が感じられます。※出典:桑名市ホームページより -
- ③七里の渡し(東海道五十三次)
宮~桑名間は、東海道唯一の海路で「七里の渡し」として知られ、その名は移動距離が7里(約27km)であったことに由来し、所要時間は約4時間であったといわれています。
古代から桑名は、木曽・長良・揖斐川の河口部にあることから交通の要衝として知られており、室町時代の紀行文から町のにぎわいや商業、交通の発展の様子などが伝わります。
江戸時代に入ってからも、東海道唯一の海路を有する宿場町として大いに栄え、船の行き来もあいかわらず盛んだったそうです。※出典:桑名市ホームページより -
製品について
- ※今回の製品はスズ製となります。スズは融点が約230℃と、金属の中ではかなり低い温度で溶けだす金属です。熱伝導率にも優れている事や、空気中・水中でも錆びることはなく、毒性のある物質が溶け出すこともないため食器類等で使われます。金・銀に並ぶ価値があった希少な金属のため、見た目の美しさも特徴的です。一方で、融点の低さから熱に弱いため直火や電子レンジ等の熱でも溶けだしてしまう点や、とても柔らかい金属のため強い圧力などでは凹んでしまうため取り扱いにはお気を付けください。
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